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リブロの1stアルバム【胎動】が日本語ラップ最高峰レベルの美しさ

リブロ=LIBRO=

リブロは、1997年に活動を始めたラッパー兼トラックメイカーだ。1998年には1stアルバムとして「胎動」をリリースしており、収録曲である雨降りの月曜はあまりにも有名である。

活動は断片的で、全く動きがないかと思えば一気に新曲を作ったりと、活動を追うのが大変なアーティストでもある。

私自身、日本語ラップを聴き始めたのが3年くらい前からなので、まだまだディグれていない。最近になってやっと、リブロの1stアルバム胎動と出会った。

雨降りの月曜すら知らなかった私。しかし、胎動を聴き始めると一気にのめり込んでいき「リブロやばい…」とすっかりハマってしまった。

リブロは、自らを誇るというスタンスとは真逆の位置にいる。ちょっと陰鬱とした空気が楽曲の中に流れていて、セルフボースが極端に少ない。 

リリックの詩的センスや滑らかで心地の良いビートアプローチは、1998年頃に主流とされていたHIPHOPスタイルとは一線を画し、当時のB-BOYたちを唸らせたという。

美しく分かりやすい日本語を使うラッパーといえるだろう。私の好みである。(志人も繊細な日本語表現をしているのだけど、内容が高度で私の理解が追い付かないことが多い)

胎動に収録されている楽曲の中から、特にやばいと思った3曲を抜粋して感想を書いていく。

雨降りの月曜 / LIBRO

雨降りの月曜

雨降りの月曜

  • リブロ
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥150
  • provided courtesy of iTunes

おそらく、リブロの楽曲の中で最も認知度の高い曲。ジャズからサンプリングしたというクラシックなビートに、リブロの高く透き通った声が滑らかに乗せられている。

また、その滑らかさに気を取られて見失いがちだが、韻が随所に散りばめられている。私には、ワードチョイスがドンピシャでハマった。

「その他は夜風に揺られる緑」「気分はさわやかな日曜日の吉祥寺」など、柔らかく繊細な言葉選びが心に響いた。

でも、やはり特筆すべきなのはフローの滑らかさなんだと思う。まだHIPHOP偏差値の低い私でも、凄い綺麗に音に乗っているなあって思った。

対話 / LIBRO

対話 Feat.Momoe Shimano A.k.a. MOE'T

対話 Feat.Momoe Shimano A.k.a. MOE'T

  • リブロ
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥150
  • provided courtesy of iTunes

対話も、日本語が美しいHIPHOP。特に「耳ふさぎ聞こえてくる旋律」「ここは2人だけの天竺」のラインは、美しすぎてめちゃめちゃ食らった。

また、この曲もフローが滑らかで気持ちがいい。「なるように進んでいく二人」「上り下りものらりくらり」のラインは本当に心地良く滑らか。

現在のHIPHOPシーンを見てみても、リブロのように日本語を綺麗に使いながらメロディアスにビートに乗れる人はあまりいないように思う。やろうと思えば出来るのかもしれないけど、リブロとは純度が違うというか。

胎動 / LIBRO

胎動

胎動

  • リブロ
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥150
  • provided courtesy of iTunes

胎動は、詩的かつ韻を踏む楽曲。曲の入りからリブロの高く透き通った声がライムを踏むんだけど、終わりまで一貫して韻を踏み続ける。

しかも、小節末だけでなくバースの中に韻を落とすので、「ここで踏みましたよ」みたいなちゃちなライムじゃない。詩的な表現は崩さないままで、高度な韻を落としていくところが凄い。

やはり、日本語ラップは韻が重要だと思う。韻を踏んだうえで、どれだけ自己を表現できるか。

リブロのレベルで出来る人がどれくらいいるんだろうかと思ってしまうほど、胎動は完成度の高さを感じる一曲だった。「唱える宿命」と「子供は塾へ」で踏む人いないと思う。

まとめ

どの楽曲も、リブロらしさがよく表れている。美しい日本語に滑らかなフロー。それらを引き立てる、詩的な韻と高度なストーリーテリング。ZORNとはまた違った日本語ラップの良さがある。

最近、精力的に活動されているようなので、今後もチェックしていきたいと思う。私もこんな風に綺麗な日本語を使えるようになりたい。

胎動

胎動