【感想】那須川天心vsロッタン・ジットムアンノン試合結果 RISE125
ロッタン vs 那須川天心〔試合前の前書き〕
ロッタン・ジットムアンノン(20)vs那須川天心(19)。那須川天心にとって過去最強の敵といって間違いない。
先日、那須川天心が死闘を演じたスアキムを、ロッタンはダウンを奪いながら勝利している。天心でさえスアキムからはダウンを奪うことができなかった。
タイではこの試合が話題となっているらしい。スアキムがやられロッタンまでやられてしまったら、タイの沽券に関わると考えているのだろうか。
しかし、裏を返せばロッタンを送り込んでくるのは勝てるだけの自信が十分にあるからといえる。ロッタンで天心を潰す。そう考えているのかもしれない。
ロッタン vs 那須川天心
1ラウンド【両者様子見だが高レベルのスタート】
いつもより距離を取らない天心。ロッタンはひたすら前へ出てくるタイプなので、すぐにカウンターできるよう距離を縮めている。
ロッタンの強烈なミドルにも怯まない。ロッタンも徐々に圧力をかけていく。両者のパンチが交錯する場面もあったが、フルスロットルまではまだ遠い様子。
2ラウンド【天心がギアを上げ、ロッタンも応戦】
天心がギアを一つ上げ、前へ出る。ロッタンもすぐに応戦し、凄い速さで互いの攻撃が交錯し、激しい打ち合いになった。天心が打ち合いになるのは珍しい。
いつもはカウンター一閃で試合が終わる。ロッタンにもカウンターは入っていたが、全く意に介さない様子。
無類のタフネスという噂に間違いはなかった。ロッタンのパンチも天心を捉えるが、クリーンヒットには至らず。
3ラウンド【下がらないロッタンの圧力に天心苦戦】
ロッタンが天心を挑発。「もっとこいよ!」とポーズし、両手を広げた。天心も応えるようにパンチを繰り出すが、ロッタンには効かない。
ロッタンの圧力はさらに増していき、天心が苦戦する場面が増えてきた。解説陣も「天心選手はこのロッタンを相手にどうすべきでしょうか」「僕の実力じゃちょっと分からないですね」とお手上げ状態。
カウンターが入っているのに効かないのでは、打つ手なしと思っても仕方ない。
4ラウンド【天心のカウンターがヒットするも効かない】
3ラウンドに引き続き前へ出るロッタン。天心もカウンターを繰り出すが、ロッタンには効かない。
鋭いものも入っているのだが、首が強いのかロッタンにはダメージとなっていない様子。
伝家の宝刀、胴回し回転蹴りも繰り出されロッタンの頭部へヒットしたが、こちらも全く効いていなかった。
しかし、ロッタンも天心を捕まえきれず、効いていないとはいえカウンターを被弾していた。勝負は最終5ラウンドへ。
5ラウンド【超近距離で激しい打ち合い、天心危うし】
スタートから超至近距離で激しい打ち合いになる。至近距離ではカウンターを活かし辛く、天心も乱打に持ち込まれる形に。
正直、めちゃめちゃひやひやした。珍しく天心にも疲弊の色が見える。対するロッタンはまだまだ体力十分といった感じで、ぐいぐい前へ出てくる。
距離を取りカウンターをぶち込むが、やはりロッタンには効果がない。また、ロッタンのボディ攻撃が効いているようで天心が嫌がっていた。
【判定はドロー】ジャッジの1人がロッタンにつけるも2人はドロー
ジャッジ
1人目 49:49 ドロー
2人目 49:48 ロッタン
3人目 49:49 ドロー
適切なジャッジだったと思う。ロッタンは攻めていたけど有効打の数が少なかった
。天心もダメージを与えらえていなかったので、ジャッジの印象は「天心が苦戦しているけどカウンターは入ってる、ロッタンのほうが優位に試合を進めているけど有効打がない」といった感じ。多分。
天心の勝ちではないけどロッタンの勝ちというのも傾いている、そんな感じだった。延長へ。
6ラウンド【ロッタンの猛攻を捌き、有効打を重ねる天心】
ロッタンは依然として猛攻を続ける。天心も変わらずカウンターを入れていくが、ロッタンの猛攻は止まらない。
しかし、ロッタンの猛攻も天心を捉えることが出来ていなかった。天心のカウンターは、効いていないにせよしっかりとロッタンの顔面を捉えている。
6ラウンドにも関わらず勢いの止まらないロッタンと、死力を尽くしてカウンターを出し続ける天心。お互いにダウンのないまま延長が終了した。
延長戦は3:0で天心の勝利!!【天心、うれし泣き】
運命のジャッジは、3:0で那須川天心。有効打が評価されたのだろう。天心は判定をきくと顔を歪め、涙をこらえていた。
ロッタンは判定に不服なそぶりをみせるも、それはパフォーマンスの様子。しっかりと天心を讃えていた。
試合後のマイクパフォーマンス
天心は、試合後のマイクパフォーマンスで「ロッタン選手は本当に強かったです。試合に勝って勝負に負けたと思いました。勝てたのは皆さんのおかげです。本当にありがとうございました」と述べ、ロッタンがいかに強敵であったかを讃えるともに、会場への感謝を口にした。
また、堪え切れなくなったようで涙も流していた。うれし泣きなのか、それとも悔し泣きなのか、それは分からないが、色々な感情の籠った純粋な涙だった。
まとめ
間違いなく、ロッタンは過去最強の相手だった。天心のカウンターも効かないタフネスに無尽蔵のスタミナ、好戦的で芯の強い精神力。
どれを取っても一流だった。普段は圧勝ばかりなので完全無欠に見える天心も、このロッタンの前では不足しているものが如実に表れていた。
しかし、そんな中での勝利である。自身の武器であるカウンターが効かず、どんどん圧力をかけてくる。
そんな強敵を相手にして、ファイティングポーズを取り続けることがいかに難しいか。天心の勇気にリスペクトを送りたい。
今回の勝利には、色々な議論が交わされるかもしれない。天心自身も、完全に納得がいっている様子ではなかった。
しかし、今日の激戦は誰が見てもリスペクトに値する試合だった。ロッタンも、アウェーにもかからわす試合を盛り上げてくれた。
おそらく、今日の試合を糧に那須川天心はまだまだ強くなる。ロッタンと再戦することもあるだろう。今後の格闘技界から目が離せない。