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UMB2018本戦の結果!優勝はMU-TON(ムートン)|全バトルレポ

『UMB2018本戦』開幕!

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2018年12月30日、新木場 STUDIO COASTにて『UMB2018本戦』が開催された。全国の予選を勝ち上がってきた屈強なMCたち48名による、日本で一番強いMCを決める大会である。

今回のUMB2018予選は全国47都道府県で開催され、熾烈なバトルが繰り広げられた。その都道府県で一番強いMC=ラッパーが、地元の看板を背負って本戦に参加する。UMBは、高校でいうならば全国大会であり、インターハイであり、甲子園だ! レペゼンを背負う覚悟と決意を胸に秘めた最高のMCたちが新木場に集う。

MCバトル最高峰の舞台『UMB 』

昨今、MCバトルの人気はすさまじい。その証拠に、YouTubeにアップされたバトルの動画はあっという間に何万回という再生回数がつくし、さまざまな名前のバトルの大会が全国各地で催されるようになった。

バトルの大会の中でも、特に有名なのは戦極だろう。YouTubeに積極的に動画を上げているし、大会の数も多い。以前に執筆した戦極18章の記事は数か月経った今でも読まれるので、それだけ需要と知名度があることが良く分かる。そのほかにも、SPOTLIGHTやADRENALINE、凱旋MCバトルなど、さまざまな大会がある。

しかし、これだけたくさんの大会があってさまざまなMCがそれぞれの大会で優勝をしていても、それによって日本一と呼ばれることは少ないのだ。何故なら、MCバトルの日本一を決める大会はUMBである、という共通認識がシーン全体にあるからである。

UMBを獲ること=日本一のラッパー。法律のように決まっているわけではないが、そうなのだ。むしろ、共通認識のみで成り立っている分、定められるよりも強固な意志で固まっている。MCバトル最高峰の舞台といえば? UMB。多くのヘッズがそう回答するだろう。

 

UMB2018を優勝するのは誰なのか

昨年、UMB2017はDOTAMAが優勝。13年間、UMBに挑み続けた男が念願のタイトルを手にした。正直、昨年はUMBの情報を追えていなかったので、誰が優勝候補だったのかなどはあまり分かっていないんだけど、そうそうたるMCが揃っていたことは確かだ。DOTAMAと決勝を争ったふぁんくやフリースタイルダンジョンのモンスター呂布カルマなど、目立つ役者が目白押しであった様子。

では、UMB2018はどうだろうか? これに関して私見だが、メンツを見る限り、明らかに優勝候補と呼ばれるMCはいない気がする。R-指定がいればR-指定、呂布カルマがいれば呂布カルマ、MOL53がいればMOL53。優勝候補が何名かいて、その中の誰かが優勝する! これまでのUMBはそのような印象だったが、今年、UMB2018は全員がダークホースのような感覚だ。

もちろん、MC☆ニガリ a.k.a 赤い稲妻やSAMなど、実力のあるMCは多いのだけど、UMB・戦極・KOKなどのビッグタイトルを獲得しているMCがいないのだ。誰が優勝しても可笑しくはない。

話題のMU-TONもUMB2018 REVENGEを制し本戦出場

RIPCREAM

RIPCREAM

出場MCの中でも、とりわけ注目されているのは『MU-TON』だろう。2017年のバトルシーンを最も盛り上げたラッパーであり、2018年はバトル引退説も流れていたが、戦極やUMBなどの大きな大会には出場している。

2017年は目新しさもあって新進気鋭のラッパーという感じであったが、最近のバトルは貫禄があってラップに厚みが増している。戦極18章では、キョンスやじょうなどの強豪MCを倒してベスト4まで駒を進めた。

最近、「RIPCREAM」というソロアルバムを出して、音源でも波に乗っている。このアルバム、めちゃくちゃカッコいいのでぜひ聴いてみてほしい。そんなMU-TON、UMB2018には出場しないのかと思っていたが、最後の最後にUMB2018 REVENGEに出場し、本戦出場権を獲得。優勝候補のひとりといって間違いないだろう。そして、これで役者はそろった。

UMB2018本戦の結果をレポート!

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前置きが非常に長くなってしまって申し訳ない。ここからは、記事のメイン。UMB2018 GRANDCHAMPIONSHIP 本戦の結果をレポートしていきたいと思う。全バトルをレポートするので結構長い。ダークホースで構成されたUMB2018、優勝するのは誰なのか? 2018年のMCバトルシーンを背負えるだけのプロップスを手にするのはどのMCか?

ちょっとしたトラブル

和歌山県代表のSURRYと三重県代表のKUYA MIGUELがインフルエンザによって欠席。代わりに予選準優勝者の中からBASEとDisryが選抜された。また、紅桜が遅刻をしたためにバトルの順番が前後しており、「あれ?レポートの順番おかしくない?」と思うかもしれないが、実際に試合を行った順にレポートしていくので、そのつもりで観てくれると嬉しい。

 

UMB2018|1回戦

第1試合 富博 vs RYU

富博はユーモアで沸かせるタイプのMCだった。それに対しRYUはどちらかというと正統。富博は緊張もあったのか少し空回りしてしまい、RYUのベーシックなラップが映える。RYUの勝利。

勝者:RYU

第2試合 MC松島 vs Mac ass tiger

MC松島はいつもの通り独特な目線でラップを披露。Mac ass tigerが持っている飲み物にい対して、「持ち込み禁止だルールを守れ」と説教した。Mac ass tigerのラップは格好良くてしっかり対話もできていたんだけど、MC松島のほうが会場受けが良かった。MC松島の勝利。

勝者:MC松島

第3試合 BALA a.k.a SBKN vs Jony the sonata

先攻からバイブス満タンの状態でかますBALA a.k.a SBKN。会場もBALA a.k.a SBKNに期待をしているようで、めちゃくちゃ良い入り方だった。しかし、それ以上にJony the sonataのラップが上手かった。BALA a.k.a SBKNのバイブスをしっかりと受け止め、格好良いラップを提示。Jony the sonataの勝利。

勝者:Jony the sonata

第4試合 ALCI vs MU-TON

個人的にすごい好きなMCであるALCIと、優勝候補MU-TONが1回戦でぶつかった。ALCIは、メロウかつユーモラスなライミングを展開。ニュートンとMU-TONのラインが格好良かった。

しかし、MU-TONのスキルとバイブスがそれを上回る。いつもはあまりやる気のないMU-TONだけど、このバトルは最初から全開だった。勢いそのままにMU-TONが勝利。

勝者:MU-TON

第5試合 T-STONE vs O.G.K

ギャグラップを武器にするO.G.Kと、本格派のイケてるラップを武器にするT-STONE。1バース目は互角だったけど、「レッドカーペットと赤コーナーはお前の血だろ?」というT-STONEのディスが会場をロック。O.G.Kはその状態からひっくり返すことができず、T-STONEの勝利。

勝者:T-STONE

第6試合 Disry vs GOTIT

Disryは高いバイブスで攻め込むが、GOTITのユーモラスで貫録のあるラップを崩すことができない。GOTITは、リザーバーとして出場したDisryに対し「1回負けたやつが上がってくんな」ときついディス。GOTITの勝利。

勝者:GOTIT

第7試合 MC☆ニガリ a.k.a 赤い稲妻 vs SKRYU

これはなかなかの名バトルだった。先攻から持ち前の高いスキルでかましていくニガリだったが、SKRYUも真っ向から対抗。会場はニガリに期待をしていたので、予想外に格好良いSKRYUに気持ちを持ってかれていく。SKRYUの「欲望と肋骨はむき出し」というラインはめちゃくちゃ盛り上がった。

ニガリがスムーズに2回戦へ進出するかと思いきや、まさかの延長。延長も接戦だったが、後攻になったニガリが地力を発揮して押し切り。ニガリの勝利。2人とも96世代らしい。

勝者:MC☆ニガリ a.k.a 赤い稲妻

第8試合 むら vs B_ZERO

申し訳ないことにあまり覚えていない……。むらの3連府だけなんとなく覚えていて、それで会場が上がっていた気がする。今回は結構覚えていないバトルが多いかもしれない。

勝者:むら

 

第9試合 EVOL vs SAM

EVOLは、今大会唯一の黒人MCである。ラップは格好良くフロウも冴えわたっていたんだけど、1人相撲感が出てしまっていた。SAMがその点を冷静に突いて勝利。ライミングも安定していた。

勝者:SAM

第10試合 小池潔宗 vs ふーわ

小池潔宗のバイブスがとにかくすごい。ふーわはそれに飲み込まれてしまった。小池潔宗の勝利。

勝者:小池潔宗

第11試合 Atmoshiphere vs 輪入道

ベストバウトの1つになるかもしれないと思ったバトル。Atmoshiphereはベテランらしく格好良いラップを魅せながらも、輪入道の靴をディス。「どうみてもラッパーの靴じゃない」と言い、会場もこれに強く反応していた。実力も肩書もモンスターである輪入道だが、変にピースな姿勢を崩せなくなってしまったようで、Atmoshiphereに押されてしまう。それでも後攻で何とか踏ん張り、勝負は延長へ。

すると、輪入道にエンジンがかかる。Atmoshiphereが格好良いラップを魅せれば、それにかぶせるように熱量で対抗。特に2バース目がすごかった。輪入道が勝利。

勝者:輪入道

第12試合 DAISEI vs KZ

個人的にKZは苦手なのだけど、やっぱり激戦区大阪のベテランというだけあって上手いし強い。KZが勝利。

勝者:KZ

第13試合 しぇん vs kNaxx

しぇんはライムもバイブスもフロウも安定していた。それに対しkNaxxは大舞台で空回りしてしまった様子。そんなkNaxxに対し、しぇんは「本戦のレベルを下げるな」ときついディスをかました。しぇんの勝利。

勝者:しぇん

第14試合 IZ vs AUTHORITY

IZは声もよくて格好良かったんだけど、AUTHORITYのライミングが上手だった。AUTHORITYの勝利。

勝者:AUTHORITY

第15試合 TORA vs 梵頭

フレッシュな若手といかついBBOYのバトル。バトルを始める前からバチバチに視線を合わせる両者。互いに譲らず延長になったが、TORAの勢いが会場をロックし、そのまま勝利。

勝者:TORA

第16試合 紅桜 vs BAMBLE

ベテラン紅桜と無名の若手が対決。紅桜は終始気怠そうで気分が乗っていないみたいだった。また、BAMBLEがバースを蹴っている途中で軽く腹パンするという。調子が悪くてイライラしてるのかなと思えば、いきなり格好良いラップをするので、会場はそれに振り回されっぱなし。2度の延長の末、紅桜が勝利。

勝者:紅桜

UMB2018|2回戦

第1試合 まーしゃる vs 紅桜

紅桜は遅刻をしてきたので、連戦に。まーしゃるというMCは初見だったのだけど、面白い上に的を突いたディスをするので、めっちゃ上手いなと思った。しかし、紅桜も1回戦を経てエンジンがかかってきている様子。

互角だったので延長へ。また延長になった紅桜は面倒くさそうだったが、それにしても上手い。まーしゃるも踏ん張っていたが、のらりくらりとラップする紅桜を捉えきれず。紅桜の勝利。

勝者:紅桜

第2試合 Bluek vs RYU

この試合もほとんど覚えていない。本当に申し訳ない。

勝者:Bluek

第3試合 Pein mira vs MC松島

Pein miraはとても若く見えた。見た目の通り、ラップもフレッシュだったのだけど、MC松島の老獪さはこういうときに発揮される。MC松島が終始リードしていた。

勝者:MC松島

第4試合 Folgoqegia vs Jony the sonata

このバトルは、両者ともめちゃくちゃ上手かったんだけど、どこか印象に残らなかった。あまり噛み合っていなかったのかもしれない。延長の末、Jony the sonataが勝利。

勝者:Jony the sonata

第5試合 KaRaAgE vs MU-TON

KaRaAgEは……良く分からなかった。ホストのような見た目をしていた気がする。MU-TONのきついディスが印象的で「こんなガキを呼ぶようになったUMBは見たくねえ」と、KaRaAgEではなく最早ライブラへの失望を口にしていた。MU-TONの圧勝。

勝者:MU-TON

第6試合 だーひー vs T-STONE

このバトルは、必ずUMB2018のベストバウトになるだろう。だーひーがアイドルの話を展開すると、T-STONEはヒップホップへの持論を展開。そこがかみ合わず、スタイルウォーズで真っ向からがっぷりよつになった。2人ともバイブスが熱く、ライムもイケてるものが多かったので、会場は大盛り上がり。

延長の末にだーひーが押し切って勝利した。T-STONEが言っていたんだけど、オロナミンCは徳島レペゼンらしい。

勝者:だーひー

第7試合 椿 vs GOTIT

まさに強豪同士の対決。椿がGOTITの体型をディスると、GOTITは「この細ぇからだで勝てんのかよ?」とアンサー。これには会場も大盛り上がりだった。延長になる。互角の勝負だったが、接戦を制したのはGOTIT。何が決め手なのか分からないほどいい勝負だった。

勝者:GOTIT

第8試合 Lyrical vs MC☆ニガリ a.k.a 赤い稲妻

Lyricalはバイブス高くニガリにぶつかる。ラップそのものが上手いことが伝わってきた。しかし、1回戦を経て調子を上げてきているニガリ。しっかりと受け止めたうえで打ち返した。ニガリの勝利。

勝者:MC☆ニガリ a.k.a 赤い稲妻

 

第9試合 KAKKY vs むら

3回も延長になった試合。あまり覚えていないので割愛。

勝者:KAKKY

第10試合 BASE vs SAM

2回戦で当てるのがもったいない好カード。BASEが「お前の彼女かわいいな」と言ったのだけど、BASEに言われると怖くなってくるのは皆同じはず。SAMは、持ち前の強固なライミングと「葉っぱの話しかできない」というディスをラインに織り交ぜながらかち込む。

めっちゃいい勝負だったのだけど、会場がわずかにSAMへ傾いた。SAMの勝利。BASEが出てくるだけで会場が盛り上がるので、本当に助かると思う。

勝者:SAM

第11試合 USTR vs 小池潔宗

小池潔宗にバイブスが足りないと言われるときつい。USTRに「クールにできないのか」と言われ、クールにやろうとしていたけど、全然熱いままだった。

勝者:小池潔宗

第12試合 Mud Ash vs 輪入道

経験の差が出た試合。輪入道の調子も上がってきていたので、ほぼ完勝だった。

勝者:輪入道

第13試合 APACHE vs KZ

APACHEは、色んな意味で印象に残ったMCだ。バイブスは高いのだけど声が大きすぎてよく聞こえない。しかも、気持ちいいくらいに相手の話を聞いていない。バトル中も聞いていないし、バトルの前後も聞いていない。KZのちょっと説教臭いところも、全部スルー。KZが勝ったけど、印象に残ったのはAPACHEだった。

勝者:KZ

第14試合 BARBER vs しぇん

BARBERは声がよく、ラップもスタンダードに格好良かったのだけど、ちょっと毒気が足りなかった。スキルに加えてディスの鋭さを持ったしぇんの勝利。しぇんは本当に強いし上手い。

勝者:しぇん

第15試合 JACKTAR vs AUTHORITY

JACKTARはフロウで会場をロックするも、AUTHORITYのスキルに押され気味。緊張もあったのかそのまま押し切られてしまった。AUTHORITYの勝利。

勝者:AUTHORITY

第16試合 裸武 vs TORA

埼玉のベテランとフレッシュな若手が対決。裸武の人気がすごくてびっくりした。TORAは「名前だけ先に売れちまったやつ」ときついディスをかます。確かに、フリースタイルダンジョンへ出て名前が売れたことは確かだ。

しかし、こんなことを言われても裸武はピースなスタイルを崩さない。ラップにも厚みがあった、TORAのスキルも新しくて格好良かったけど、ベテラン裸武の勝利。

勝者:裸武

UMB2018|3回戦

第1試合 Bluek vs 紅桜

紅桜のフロウが冴えわたる。Bluekはそれを止めきれなかった。調子がいいときの紅桜は異次元の強さだった。「パンにレーズンがねえと食えねえか坊ちゃん?」という紅桜ならではのユーモラスなディスも格好良かった。紅桜の勝利。

勝者:紅桜

第2試合 Jony the sonata vs MC松島

Jony the sonataはラップが上手いけど特徴がないので、MC松島も言うことないんだろうなと思った。それ故なのか、「クソ on the うんち」とか変なライムをしていた。それはそれで盛り上がり、MC松島の勝利。

勝者:MC松島

第3試合 MU-TON vs だーひー

このバトルもきっとベストバウトになるだろう。勢いに乗るMU-TONに対して、全く物怖じしていないだーひー。MU-TONはフロウで魅せながら、だーひーのことを格好良くねえとディス。それに対しだーひーは一歩も引かずに自分のスタイルをセルフボースティング。

MU-TONはMU-TONでだーひーのことは絶対に認めないと主張し、「こんな見た目のやつのヒップホップ聴きてえか?」「髪形だせえよ」など、徹底的にだーひーのスタイルをディスった。スタイルウォーズの極みともいえるような試合で、どちらが勝ってもおかしくなかったけど、会場はMU-TONを支持。超名勝負だった。これぞMCBATTLEという感じ。

勝者:MU-TON

第4試合 GOTIT vs MC☆ニガリ a.k.a 赤い稲妻

またしてもGOTITは強豪との対決。ニガリは滑らかなフロウを武器にかちこんでいく。それに対して男臭い熱量とユーモアで対抗するGOTIT。ニガリの勢いとスキルは相当なものだったが、GOTITがそれを経験値で埋めた感じ。

延長へ。延長になっても、ニガリのフロウが冴え渡る。明確な差は出ていないものの、ニガリの方が押しているような感じだった。それに焦ったのか、GOTITは結構際どい下ネタを連発。焦りも見えたので、ニガリが勝ちそうだなと思った。

しかし、「俺も今冷静じゃねぇ、ヤベェこと言ってんのは分かってる」と締めくくると、会場がこれに爆発。このライン一発で試合がひっくり返った。この土俵際での強さは流石だなと思った。

勝者:GOTIT

 

第5試合 SAM vs KAKKY

冷静なSAMに対し、KAKKYは相変わらずのバイブスで対抗。SAMは調子上がらないのか、終始めんどくさそうだった。たしかに、KAKKYのラップは1人相撲な側面が強く、アンサーがない。結果は、単純にSAMの方が強かった。

勝者:SAM

第6試合 小池潔宗 vs 輪入道

バイブスの熱い小池潔宗とは逆に、冷静な輪入道。しっかり深いところまで対話しているんだけど、どうも平行線だった。互いにリスペクトがあるからなのか、今一歩踏み切ったディスが出てこない。僅差ではあったが勝敗は明確で、輪入道が押し切った。

勝者:輪入道

第7試合 しぇん vs KZ

しぇんはKZに対しリスペクトはあるものの、認めきれないようだった。「そんなにヒップホップ分かってんのに売れてねえのは何故?」と敬意を込めたディスを飛ばす。それに対しKZはそのディスを受け止めた上で「ちょっとずつ進むのが俺なんだよ」と等身大の自分をレップした。

しぇんはそれでも納得いかないようで、「何年かかってんだよ?」とディスを重ねる。私はしぇんのほうに手を挙げたが、会場はKZの熱い心粋に打たれたようだった。

勝者:KZ

第8試合 裸武 vs AUTHORITY

裸武は、またしてもベテランvs若手という構図で戦うことに。互いにこれまでの人生を乗せてラインを重ねていき、自然とセルフボースの強いバトルになった。おそらく単純なスキルはAUTHORITYのほうがバトル映えするのだけど、裸武には確固たるスタイルと言う武器がある。一歩も譲らない展開となった。

裸武のほうがいくかな?と思ったけど、AUTHORITYの地力がすごい。裸武のスタイルをスキルで凌駕し、AUTHORITYの勝利。

勝者:AUTHORITY

UMB2018|ベスト8

第1試合 MC松島 vs 紅桜

尻上がりに調子を上げていく紅桜。MC松島は、掴みどころのない紅桜を相手に言葉を選びづらそうだった。スタイルとスタンスを一切曲げずにラップする紅桜は、相手のわずかな隙を突いて崩していくMC松島のスタイルと噛み合わないのかもしれない。ベテラン、紅桜の勝利。

勝者:紅桜

第2試合 MU-TON vs GOTIT

先攻からかますMU-TON。相変わらず何を言っているのかは分からないけど、とにかく格好良い。ベスト8故かバイブスも熱かった。GOTITはいつも通りユーモラスなラップで対応。MU-TONの口癖である「See」を物真似してディスる。それに対しMU-TONも「あんた面白いのTwitterだけだろ」とディスを返した。スタイルのぶつかり合いが激しい。

甲乙つけがたい試合だったが、流石のGOTITも少し体力切れの様子。MU-TONは言葉を選びすぎることがなくただ格好良いラップをしているだけなので、体力切れになることもないのだろう。MU-TONがGOTITを下し、準決勝進出。

勝者:MU-TON

第3試合 SAM vs 輪入道

この2人の試合は静かに始まった。しっかりと対話を重ね、深く話し込んでいく。ライミングを武器とするSAMだが、このバトルではアンサーを重視してラインを展開していた。輪入道はもともと話し込むほうなので、互いが同じ方向を向くと加速度的にその方向へ進んでいく。

決着はつかず延長へ。すると、延長ではいきなりバチバチの展開に。SAMは輪入道のちゃちなディスをディスし、持ち前のライミングも余すところなく披露。しかし、輪入道もエンジン全開といった感じ。興奮してあんまり覚えていないんだけど、総合的にみて輪入道のほうが上だった。

勝者:輪入道

第4試合 KZ vs AUTHORITY

ベスト8ということもあって、泣くんじゃないかってくらいバイブスの熱いKZ。AUTHORITYはそれを反応。「何年もヒップホップに関わってきて学んだのは客の泣かせ方かよ?」と、KZのラップはお涙頂戴であるとディスをした。確かにそれはどことなく感じられて、会場内でそれにうなづくような反応も多かったと思う。また、AUTHORITYはライムも硬くて、M-1グランプリとレギュラー番組のラインはめちゃくちゃ良かった。AUTHORITYのフレッシュかつ高いスキルが会場をロックし、そのまま勝利。

勝者:AUTHORITY

UMB2018|準決勝

第1試合 MU-TON vs 紅桜

MU-TONは紅桜に対し強いリスペクトを持っているようだった。バイブス高く紅桜へかち込む。対する紅桜は、R&Bみたいな入り方で会場を沸かせた。ライムとフロウがすっごい良くて、会場中が「これはMU-TONが食われるかもしれない」と感じただろう。MU-TONも持ち前のフロウで対抗し、勝負は延長へ。

しかし、延長になると紅桜は飽きたのか、眠そうな感じに。MU-TONはそれをディスすることはなく、セルフボースのラップでバースを蹴った。終始ピースな感じのバトルで、間違いなくベストバウトだろう。最後までラップをし続けたMU-TONの勝利。

勝者:MU-TON

 

第2試合 輪入道 vs AUTHORITY 

輪入道は前のバトルでバイブスを上げ過ぎたのか、準決勝まできてちょっとセンチメンタルになっていた。AUTHORITYは大物食いを目論んでさらに勢いづいていく。もう輪入道はおじいちゃんみたいな優しさに包まれていて、AUTHORITYはそれに乗せられてか、さらに高いスキルを披露した。「あの日の濡れ衣も今じゃビンテージ」「百花繚乱、半か丁か」など、超人的なパンチラインとライミングを魅せた。

輪入道とMU-TONの決勝も気になったが、AUTHORITYがそれを上回る強さとスキルを魅せて勝利。会場がそれを望んでいた。

勝者:AUTHORITY

UMB2018|決勝

決勝戦 AUTHORITY vs MU-TON

ついに迎えた決勝戦。GOTIT、紅桜といった強豪をなぎ倒して上がってきた優勝候補大本命のMU-TONと、輪入道やKZとの接戦を制してきた無名のMC AUTHORITYが、UMB2018の決勝戦を飾る。ビートは「最っ低のMC」。これで上がらないはずはなく、会場の盛り上がりは最高潮に。AUTHORITYはあえて先攻を選び、バトルがスタート。

AUTHORITYは、「あんたは俺みたいなMCのことだせえって言うんだろ? ならあんたの土俵に上がって勝ってやるよ!」と、バイブス満タンでMU-TONにかち込んでいく。MU-TONは初っ端から、食らったMCの名前を並べるという、最っ低のMCをサンプリングを展開。これには会場も上がっていた。さらに、AUTHORITYのことを「決勝の相手には物足りねえ」とディス。必死な思いで上がってきたAUTHORITYにとってこれはしんどい。

しかし、2バース目のAUTHORITYがヤバかった。ライミングとバイブスが尋常ではない。MU-TONがよくいう小峰の忍者に関連付けて「悪者扱い、ラストサムライ」と気持ちのいいライムを魅せた。MU-TONの2バース目次第ではAUTHORITYの優勝もあり得るぞ!と思ったが、ここでMU-TONが土俵際での強さを魅せる。

フロウとバイブスで会場を自分のほうへ傾けさせ、AUTHORITYがMU-TONのラインに食らったような顔をすると「あーって顔すんじゃねえ!それは負けを認めてるようなもんだ」とディス。これには会場も魅せられてしまい。最終的には超大盛り上がりでMU-TONのバースが終わった。

AUTHORITYも相当踏ん張っていたが、ここはMU-TONが盤石の強さを魅せて勝利。

勝者:MU-TON

UMB2018本戦の結果!優勝は『MU-TON(ムートン)』

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エントリー総数2000名以上、さらにはUMB史上初の全都道府県での予選開催。そんな苛烈な環境の上に成り立ったUMB2018を制したのは、レペゼン福島のラッパー『MU-TON(ムートン)』だ! 

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紅桜やGOTITといったベテラン勢を退け、AUTHORITYという無名ながらも叩き上げのスキルで勝ち上がってきた若手をしっかりと止めた。もうMU-TONの強さを疑うヘッズはどこにもいないだろう。

話題にはなっていたものの、ビッグタイトル獲得だけができていなかったために、最強という印象の無かったMU-TONだが、UMBを獲ったMCに最強という言葉が当てはまらないはずがない。プロップスだけではなく、名実ともに存在証明を果たしたと言える

UMB2018本戦のトーナメント結果表

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UMB2018本戦のまとめ・感想

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会場の入りもすごかった

正直にいえば、過去のUMBに比べ、確かにレベルは低かったのかもしれない。数多くのMCがそのことを危惧していたし、そう感じた人もきっといるはず。その理由はたくさんあるだろう。

全都道府県で開催をしたため、本戦出場の間口が広くなり、相対的にレベルが均一化されたこと。呂布カルマやMOL53といった強豪ラッパーが出場していないこと。UMB以外にも大会が増え、MCが分散していること。パッと思いつくのはこの辺りだろうか。ただ、それでもUMBが日本一を決める大会であることに間違いはないはずだ。

何故なら、全国で予選を開催し、そこで勝ち抜いたMCしか出られないからである。ゲストシステムがないのだ。ゲストのシステムを導入すれば、強豪と呼ばれるMCを網羅することはできるだろう。でも、それでは、全国大会ではなくなってしまう。あくまでも日本一を決めるための大会であり、予選の勝者のみを集めなくてはいけない。インターハイと同じだ。予選を勝ったものだけが出られる。だからこそ、UMBのタイトルには唯一無二の価値があるんだろう。

UMB2018を獲得したMU-TONが、今後どのように活動していくのかは分からないが、日本一のMCであることは、今日のUMBで証明された。きっと今後の活動の糧になるだろう。

まとまらない感想になってしまったが、戦極に続いて12000文字を超えたのでそろそろ終わりにする。ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。全てのMCに栄光を。

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▼戦極18章の記事

www.mcotemae21rap.com