第14回高校生ラップ選手権の優勝者はHardy!バトルの結果レポ
- 第14回高校生ラップ選手権 結果レポ
- 第14回高校生ラップ選手権 1回戦
- 第14回高校生ラップ選手権 2回戦
- 第14回高校生ラップ選手権 準決勝
- 第14回高校生ラップ選手権 決勝
- 第14回高校生ラップ選手権【結果】優勝はHardy
- 第14回高校生ラップ選手権【結果】の感想
第14回高校生ラップ選手権 結果レポ
2018年8月31日にZeppNagoyaで行われた第14回高校生ラップ選手権。
審査を潜り抜け出場権を獲得してきた16名の高校生ラッパーが、高校生No1を目指してしのぎを削る。今回の記事では、第14回高校生ラップ選手権の結果をレポートする。
出場MCたちのまとめはこちら
第14回高校生ラップ選手権 1回戦
1回戦 藤Koos vs 空音
先攻から熱いバイブスとスキルで会場を沸かせる藤Koos。
落としどころやフロウが会場に伝わりやすい。
対する空音も高いバイブスとアンサーで、藤Koosに食らいつく。
空音は唾奇の楽曲名をライムに混ぜ込んだりとイケてるバースを蹴っていたけど、藤Koosの会場をあげるスキルが1枚上手だった。
4:1で藤Koosの勝利。
1回戦 hMz vsMCリトル
最近はやりのトラップビート。
hMzはまとわりつくようなフロウでビートを乗りこなした。
もともとプロップスを持つhMz、独自のセンスが光る。
MCリトルはトラップビートを、オーソドックスなフロウで乗りこなした。
後半が倍速で乗せつつもライムを綺麗に落とし、hMzの独特なスタンスを真っ向勝負。
hMzは一貫して自分のスタイルを崩さずにラップを続けたが、MCリトルのオーソドックスなスタイルが会場にマッチ。
3:2でMCリトルの勝利。
1回戦 rabbit vs 十六夜
お互いにライムを重視するスタイルだったため、ほぼ真っ向からライミングで組み合う形に。
しかし、rabbitのライムはよく練りこまれていたものの、即興性に今一つ欠けていた。
反面、十六夜はライミングと即興性、どちらも欠けることがなかった。
十六夜はかなりうまかったと思う。
5:0で十六夜の勝利。
1回戦 Red eye vs Kai-tone
Red eyeは、いつも通り草ネタを交えつつ滑らかなフロウで会場をロック。
対するKai-tone、Red eyeのライムを拾いながら即興性の高いライミングを魅せた。
1バース目の時点ではKai-toneが優勢に思われたが、2バース目でRed eyeが盛り返す。
アウトローな一面をふんだんに盛り込んだライムで畳みかけ、Kai-toneを攻め立てた。
Kai-toneも2バース目でアンサーを綺麗に返しながら対抗するが、一度傾いた流れを取り戻すことはできず。
5:0でRed eyeの勝利。めっちゃいい試合だった。
1回戦 ONO-D vs yuto
yutoは、先攻から堅実に格好良いラップを魅せた。
対する00世代としても有名なONO-D。
ほかにはない唯一無二な乗り方とワードセンスで一気に会場を盛り上げる。
2バース目でもyutoは自身のイケてるラップを続け、ONO-Dの土俵には上がらない姿勢を貫いた。
ONO-Dは、yutoに向けてではなく会場に向けてラップを続け、トレードマークであるバンダナを取り去り、会場を縦横無尽に駆け回るパフォーマンスを魅せる。
さらに会場がONO-Dに傾いた。
yutoのラップも格好良かったけど、5:0でONO-Dが勝利。
1回戦 LITO vs journey
LITOは、持ち前のセンスを武器に、高い音楽性を表現。
言葉を聴き取りづらい部分もあったが、それを補って余りある表現センスだった。
journeyもうまくラップをしていたが、沸きどころが掴みづらくなかなか会場をロックできない。
5:0でLITO の勝利。
1回戦 LOCO vs Hot Pepper
見た目のギャップがすごい2人だった。
LOCOはカリスマ美容師みたい装いで、Hot PepperはMACCHOを彷彿とさせるヒップホップファッション。
対照的な2人のバトルは、内容もまったく交わっていなかった。
軟派な姿勢で魅せるLOCOに対して、Hot Pepperは硬派なスタイル。
Hot Pepperのほうが好きだったけど、3:2でLOCO。
1回戦 Hardy vs RAGA
高いバイブスとラップスキルで貫録さえ漂うHardy 。
対するRAGA、それに呼応するように自身のスキルを発揮した。(めっちゃmol53に声が似ててびっくり)
RAGAも格好良かったけど、Hardyの実力がすでに高校生の域を抜けていた。
5:0でHardy。
第14回高校生ラップ選手権 2回戦
2回戦 MCリトル vs 藤Koos
MCリトルは、先攻からライムをふんだんにかましながら藤Koosを攻め立てる。
藤Koosもしっかりと対応し、ライムとフロウで会場を盛り上げた。
藤Koosが会場をロックしたように思われたが、MCリトルのライミングが尋常ではなく、若干のネタ感はあったものの2バース目の小節末をほぼライミングした。
そのネタ感をしっかりと突きながら、「言×theanswerがいなきゃここに来れてねえよ」ときついディスをかます藤Koos。
互角に一戦は延長になった。
延長もめちゃめちゃいい勝負で、甲乙つけがたい内容。
しかし、藤Koosの、倍速テクニックやライミングが一枚上手だった。
5:0で藤Koos。
2回戦 十六夜 vs Red eye
十六夜のライミングテクニックとユーモラスが全開。
Red eyeをガンガンに攻め立てる。
「これは十六夜スゴイな、勝つんちゃうか」と思ったが、流石は経験値豊富なRed eye。
後攻で会場を一気にひっくり返す。
十六夜の2バース目をきいたときは、上手すぎて「これは十六夜の勝ちだな」と思わされた。
しかし、Red eyeが後攻の2バース目で全部をひっくり返して5:0で勝利。
両者ともかなりレベルの高いバトルだった。
大阪勢はやっぱりラップが上手い。
2回戦 ONO-D vs LITO
LITOは、一回戦と同じくセンスを武器にバースを蹴る。
ちょっと抽象的な表現が多く、ライムを聴き取りづらい部分はあったが、音楽性で会場を盛り上げた。
対するONO-D。
一回戦では、会場を縦横無尽に駆け回るというイレギュラーな振る舞いで魅せていたが、LITOを相手にいつものスタイルで真っ向勝負。
LITOの「お前だれ? Gucciすらもダサくするダサい男」というラインに対して「ダサくても売れてりゃ格好いいんじゃないの?」というサンプリングで対抗した。
これには会場も大盛り上がり。
LITOはバイブスも交えながら2バース目を盛り返すものの、ONO-Dの勢いを止められなかった。
2バース目の最後には、得意のフロウでさらに会場を盛り上げたONO-D。
4:1でONO-Dが勝利。
判定を待っている間、LITOが何かを言うのを止めているHIDADDYが面白かった。
2回戦 Hardy vs LOCO
LOCOの「フランキーズベイべ」ってなんなんだろう。
Hardyのスタンダードに格好良いラップが光り、そのまま5:0勝利。
LOCOはラッパーっていうよりロッカーっぽいね。
第14回高校生ラップ選手権 準決勝
準決勝 藤Koos vs Red eye
調子をどんどんあげてきている両者。
先攻からかました藤Koosは、持ち前のフロウとライミングテクニックを走らせる。
対するRedeyeもエンジンは全開、早口で乗せながらもライムをしっかりと落とし、会場を盛り上げた。
真正面から衝突した1バース目。
2バース目からのバトル内容は、アングラvsネットに繋がったのだけど、スタイルウォーズのまま決着がつかず延長へ。
Redeyeはアウトローのスタイルを保持したままラインを展開。
気持ちよい乗せ方とライミングで観客を魅了した。
藤Koosは対話を重視するようにラインを展開するも、刺さるラインが少し少なかった。
互角のバトルだったが、藤Koosの勢いが失速してしまい、Redeyeが5:0で勝利。
準決勝 ONO-D vs Hardy
準決勝のビートは「BADHOP / Kawasaki drift」。
先攻のONO-Dは、「スクースクー」というBADHOP特有の乗り方をラインに混ぜ込みながら、独特な世界観でラップを展開。
対するHardy、benjazzyのラインを自身の言葉でサンプリング。
しかし、バイブスが熱すぎて何を言っているのか分からない部分が多かった。
ONO-Dは、余裕をもった楽しむ姿勢を崩さないまま2バース目も蹴る。
「これはONO-Dが勝ちそうだな……」と思ったが、勝負は延長へ。
延長ではHardyが先攻に。
いきなり「黒い雲 雨に落雷」という「平成維新feat .童子-T&UZI 」のサンプリングでラインを展開し、これには会場も大盛り上がりだった。
対するONO-D、Hardyに比べると声が聴きとりやすく独特でセンスのある間の取り方。
蹴るバースもONO-Dの世界観がしっかりと詰まった内容だった。
Hardyのスキルは本当に高かったが、若干聞き取りにくく、それが影響したのか、もう一度延長へ。
再延長では、お互いにピースな姿勢で相対した。
特に、ONO-Dは平和が好きそう。
流石に再延長までいくとバチバチし続けるのも疲れてしまうのか、観ている側も楽しくなるようなピースなバトルだった。
ONO-Dもかなり良いラインが多かったのだけど、肩の力が抜けたHardyのライミングとラップスキルが強かった。
3:2でHardyが勝利。
どちらが勝ってもおかしくなかった。
第14回高校生ラップ選手権 決勝
決勝 Red eye vs Hardy
決勝のビートは「TOKONA-X / 知らざあ言って聞かせやSHOW」。
Zepp名古屋に相応しいビートに会場は大盛り上がり。
両者ともライミングとフロウが冴えわたっており、いきなり互角の勝負だった。
話の中心は草ネタで、2人とも馴染みがあるからなのか、結構話がかみ合っていた。
全くの互角で勝敗がつかず、延長へ。
延長になると、両者バイブスに火がつき始める。
Hardyはケミカルネタから天国のfebbとXにつなげ、会場を盛り上げた。
「これはHardyやばいな……」と思ったが、Redeyeがなんと、ステージを降りて会場にコール&レスポンスをするパフォーマンスを披露。
MCバトルでこれをやるのは初めて見た気がする。
しかし、これに対してHardyは言葉に詰まりながらも「ステージを降りるんじゃねえ」と完ぺきにアンサー。
上手さよりもバイブスと覚悟でバースを締めた。
後攻のRedeye、Hardyの熱意を受け止めながらも持ち前のフロウとライムは崩さずに最後のバースを蹴る。
「00世代だかなんだか知らんが02には俺がいる」といったラインが記憶に残った。
第14回高校生ラップ選手権【結果】優勝はHardy
どちらが勝ってもおかしくない互角のバトルだったが、軍配はHardyに上がった。
審査の決め手は分からないが、個人的にはfebbとXにRest in peaceやステージを降りるなという硬派な一面が評価されたのかなと思う。
Hardyはこれまで、G-HOPEやCore-boyなど、優勝者に苦汁を舐めさせられてきたが、4回目にしてとうとう優勝を手にした。
ずっと優勝候補と言われながら出場するのは大変だったんじゃないだろうか。
大阪の若手といえばHardy。そういわれ続け、ずっと看板を背負ったままMCバトルを続けている。今後は音源も積極的に出していくと思うので、ぜひ聴いてみたい。
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フリースタイルダンジョン|Hardy(ハーディー)と裂固が対決! - MC烏龍茶の随筆
第14回高校生ラップ選手権【結果】の感想
ざっくりと感想を述べると、例年に比べてフロウや乗せ方を重視するMCが増えたなという印象。
今までは、ライミングのほうに比重が置かれているような気がしたが、最近のシーンはトラップビートに変幻自在に乗ったり、緩急をつけて間の取り方を工夫したりといったラップが好まれるみたい。
特にそれが顕著に表れていたのが、ONO-D。ほかにはない独特な世界観とリズムキープは、今大会でもかなり格好良く映っていた。
高校生ラップ選手権の特徴は、決して優勝者のみがプロップス得るわけではないところ。
個人的な印象では、最もプロップスを得たのはONO-Dなんじゃないかと思う。今後のMCたちの動向を注目していたい。